Part5: 心臓手術後に走ることを目指す人をつなぐASFRの輪
2024年のASFR大会に参加。左から2番目が古川さん
――ASFRの大会や心臓弁膜症ネットワークの勉強会にも来られてましたけど、インターネットとかで見つけられたのですか?
古川 はい。それこそ心臓手術をした、人工弁にした、なんていう人間は周りにいませんでした。しかも、それでまた走ろうとしている人は知り合いのネットワークの中でもいなかったので、そういう人と話をしたりアドバイスを受けてみたいなと思っていました。
それで去年の12月に日本橋の勉強会で初めて鏡味さんにお会いをして、色々な方の話、先生の話も聞けたりして、ああもっと走れそうだなって思いました。静かにしていてもいいこと何もないですからね。
5月のASFRのイベントに行って、同じように手術をされた方がたくさんいたじゃないですか。本当に勇気をもらったというか。自分がこれからやろうとしていることって特別じゃないんだと思えました。
ASFRの輪を、あの豊洲の大会だけじゃなくて、例えば日本全国でやってみたりとか。心臓手術って大変だけど、でも治る病気だというのを普通の人が認識できるようになると、手術に二の足を踏んでた人も「それならば」と健康を取り戻すために手術をしてくれればいいなっていうのは思いますね。
◾️やりたいことをやって生きていく--古川さんの今後の生き方
――同じように心臓手術をされた方へのメッセージはありますか?
古川 自分が病気をあまり意識しないようにするということでしょうか。意識するな、というのは私自身も無理なんですけど、それよりも、やりたいことをイメージしてやっていってほしいなと。私自身もそういう風に生きていきたいなと思っています。
アイアンマントライアスロンの最高齢の完走者って日本人なんです。千葉にいらっしゃる稲田さんという方なんですけど、最後にハワイで完走したのが85、86歳の時だと思います。稲田さんが凄いのは、未だにハワイの世界選手権を目指しているという。今年もオーストラリアのケアンズでアイアンマンケアンズというのがあって、稲田さんはそこに出場されてハワイを目指しましたけど、残念ながらバイクで時間制限にかかってリタイアしました。でも、いまだに稲田さんの情熱は衰えてない。92歳です。もう尊敬に値する以上の化け物と言っていいと思います。
―― 今後、参加してみたい大会などはありますか?
古川 私、実はホノルルマラソンに出ないって決めていたんです。ホノルルマラソンは、初めは心臓手術をした人のためのリハビリマラソン大会としてスタートしたんです。なのに、制限時間がない、ハワイ・ホノルルだという環境で、何も知らない日本人が何万人も出る大会になってしまっている。そんな大会に出てたまるかと思っていました。
でも、ふと考えたら今の自分にふさわしい大会になっている。本当に素晴らしい目的をもった大会としてスタートをしたホノルルマラソンだから、日本人が何万人でようが、改めてホノルルマラソンを味わってみたいなって思うようになっています。
また、来年(2025年)3月には東京マラソンを走る予定です。完走を目指して走ろうと思います。