Part3: 主治医の言葉に後押しされ、術後も歩き、走り始める
心臓手術後初、佐久平ハーフマラソンの5kmの部を走る古川さん
―― 当初は手術後に走ったり、トライアスロンに挑戦したりすることを想像できましたか?
古川 想像してました。そのために手術をしたんです。
手術する前から、した後もずっとそうですけど、マラソンとトライアスロンはライフワークだと思っているので、世界選手権は無理だとしても走りたいと先生に言ったら、「トライアスロンはともかく、マラソンは走れるようになると思いますよ」と言われました。手術をされた先生から少しずつなら走ってもいいよと言われたのが、術後8ヶ月ですね。
2ヶ月後くらいから歩いていいよと言われていたので、その時から1日10kmくらいは歩いていました。その頃から走れたと思いますけど、医者が走っちゃいけないと言うからやめました。でも結構なペースで歩いてましたね。東京マラソンを制限時間内に完走できるくらいのペースで歩いてました。
―― 8ヶ月後に走り始めたのは何がきっかけだったんですか?
古川 佐久平で第1回のハーフマラソンの大会があったことがきっかけです。住まいの近くでのんびり走れる大会があれば出てみたいなとランネットで調べていたら、佐久平が直近でやるということだったので出てみるかと。女房にお前も付き添いで一緒に走れよって言ってたらしょうがないわね、と走ってくれることになりました。
佐久平のメインはハーフですが、そこに5kmの部がありました。さすがにいきなりハーフを走る気にはならなかったですね。意外とね、憶病なんです。自分で心拍数120を超えないようにと決めて走ったので、ゆっくり走りました。38分ぐらいかかりました。
その5kmのコースを走って問題はなく。それから今年の1月に石垣島で10kmを走ってと、順調に確かめていきました。
――心臓手術を経験する前と現在とで、走ることへの気持ちの変化はありましたか?
古川 変化はやっぱりありましたね。走れる喜びみたいなのはありました。心臓を手術して、もしかしたら走れないかもしれないと思いながら半年以上過ごして、で医者から走っていいよと言われてスロージョグから始めた時は、また走れるんだ、と。大げさですけど、「この世界に戻ってこれたんだ。もしかしたらトライアスロンも行けるかもしれない」というのが走ってすぐイメージできましたね。