Part2: 突然の病気発覚と心臓手術
2019年のトライアスロン世界選手権に参加する古川さん
―― マラソンやトライアスロンをされているなかで、心臓に病気が見つかったのですね。
古川 手術を受けたのは今から2年前、2022年ですね。それまでは心臓に問題なく、自覚症状もなかったんです。定年になってからも人間ドックに行ってましたけども、スポーツ心臓と言われる、よくありがちな左心室肥大とかは言われていましたね。それも昔からそうなんですよ。
それで、2年前の10月に例年通り人間ドックを受けました。受けた時も自覚症状はありませんでした。ただドックが終わって、最後の内科医との面談で「大丈夫だとは思うんですけど、心臓の専門医に1回見てもらったほうがいい」と言われました。
たまたま行きつけの内科医が循環器系でしたので、とりあえずそこに行ってみて、すぐにエコーを撮ってもらいました。 そのエコーを見ながら先生が「古川さん、これはただ事じゃないよ」と。診断された病名は大動脈弁閉鎖不全症でした。放置しておくっていうのは賛成できないとおっしゃられて。いやそう言われても今度の日曜日に松本マラソンを走るんですよ、エントリーしてもう完全に走る気満々ですと言ったら、「この状態で走ったら古川さん死んじゃうよ」って言われて。もうね、ショックで。
後になってその循環器系のかかりつけの主治医に聞いたら、2019年にハワイで走っていた時からもうこういう状況だったと思うよと言われました。急にはこんな悪くならないはずだから少なくとも5、6年前からあったんじゃないかと。
――マラソンは走らずに手術することになったのですね。
古川 手術を勧められて、ただ手術はそこじゃできないから、住んでいる長野県で心臓弁の手術ができる2カ所の病院を紹介してもらって、すぐにその一つの病院の心臓外科の部長さんに電話をしてもらって、「明日にでも診てもらえないか」と依頼してもらいました。
わざわざ時間を開けてもらって翌日にはその部長さんのところで診察をしてもらいました。 そしたら、「やっぱり手術した方がいいと思います」と言われました。そうなると延ばしてもしょうがないなと思いました。 私の中にほっておくという選択肢はなかったので、手術しないでいたらどうなりますか、とは聞かなかったですね。
―― 手術は怖くなかったですか?
古川 さすがに怖かったですね。でももう1度走りたいという気持ちがあって、そのためには手術以外にはないと医者からは言われましたから、自分の中ではもう迷うことはなかったです。ですから女房にも相談しなかったんです。手術をするよという報告で、女房も本当にびっくりしてただけだと思いますね。私が決めたらどうせ言うこと聞かないというのは思っていたでしょうし、もう1つは手術をすればある程度の健康状態に戻れる、長生きもできるからその方がいいなと無理やり納得してくれたのだろうなと思ってはいます。ありがたいことです。
―― 手術自体はどうでしたか?
古川 生体弁の置換手術を行いました。手術自体は問題なく普通に終わりました。6時間ぐらいかかったと聞いています。正中切開なので、痛みとかあるのかなと思っていましたが、実際には痛みはほとんど感じませんでした。痛みに鈍いんですね。先生が上手だったんでしょうかね。
手術後にえっ、と思ったのは、手術をしてICUから一般病棟に移った翌日から運動療法が始まったことです。早いなと。最初に歩きはじめて、それからエアロバイクをだらだら漕いでたんですけど、トライアスロンをやっていたからこんな速さでいいのかなと思っていました (笑)